インプラントが適応できない患者の口腔および全身状態 / さいたま市の歯科医師監修 | [公式]くろさき歯科

インプラントが適応できない患者の口腔および全身状態

インプラント治療は、歯がなくなった患者様の治療において、噛む力も強く、高い予知性を持つ治療法ですが、全ての患者様に適応可能なわけではありません。口腔内環境や全身疾患の影響により、治療成功率が低下するケースが存在します。本記事では、インプラントの適応が困難とされる患者の要因と、それに対する適切な対応策について、さいたま市のくろさき歯科 黒崎俊一先生にお聞きしました。

【監修者】黒崎俊一先生

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インプラントが適応しにくい患者様の特徴

― まず、インプラントが難しいと言われるケースをご紹介ください

まず、インプラントが無理だという患者様は、それほど多くはありません。患者様の中には、過去に歯科医院で、「インプラントは無理」と言われた方もいらっしゃるようです。多少厳しい言い方になりますが、それはその歯科医師の意見でしかないので、他の歯科医院では可能かもしれません。この点を前提に、インプラントが適応しにくい患者様についてご紹介をします。

1:成長期にある若年患者様
インプラントの埋入は、アゴの骨の成長が完了した後に行うことが原則です。アゴの発育が未完了の状態でインプラントを埋入すると、成長の過程で位置のズレや噛み合わせの異常が生じる可能性があります。若年の患者様にインプラントはおすすめできないと思います。
若年者に推奨される対応策としては、一時的に補綴治療(義歯やブリッジ)を選択し、インプラントができる年齢になって、インプラントの手術を行うと方法があると思います。

2:骨粗鬆症患者様
骨粗鬆症は、骨密度が低下しているので、インプラントと骨の結合が阻害されるリスクがあります。また、ビスフォスフォネート系薬剤の使用歴がある場合、顎骨壊死の懸念されています。

3:重度の歯周病・口腔感染症患者様
歯周病が進行すると、インプラント周囲炎のリスクが高まり、長期的な予後に影響を及ぼします。インプラントの定着には健康な歯周組織が不可欠です。インプラントの歯科医師としては、リスクが高いので、オペはやりたがらないと思います。対応策としては、歯周病の治療を優先することになりますが、歯周病を専門としている歯科医師が、インプラントを行う歯科医院に在籍しているとは限りません。こうした場合、歯周病の専門医が在籍している歯科医院に相談するといいでしょう。

4:糖尿病患者様
糖尿病による高血糖の状態は手術部位が感染しやすくなるリスクがあります。また、免疫機能が低下していると、術後の回復が遅れたり、感染症にかかるリスクも高まります。糖尿病の患者様がインプラントができないということでなく、リスクが高いということです。この点はオペを担当する歯科医師と相談をすればいいでしょう。
対応策としては、血糖値を安定させ、食事管理などの生活習慣の改善ということになります。管理栄養士が在籍している歯科医院もありますので、専門性の高い歯科医院に相談するといいでしょう。

5:透析患者
透析患者は、骨代謝異常や免疫抑制の影響を受けるため、インプラントの長期的安定性に課題があります。対応策としては、透析医と歯科医師の連携が考えられます。

6:妊娠中および妊娠予定のある患者様
妊娠中のホルモンバランスの変化は、歯周組織の炎症を引き起こしやすく、術後の回復に影響を及ぼす可能性があります。また、X線撮影や麻酔使用に伴うリスクも考慮する必要があります。出産後、体調が安定してからの治療を推奨します。

7:喫煙者(加熱式タバコ含む)
喫煙は血流障害を引き起こし、インプラントのオッセオインテグレーション(インプラントと骨の結合)を妨げます。加熱式タバコも無害だとは言えず、リスク要因として考える必要があります。

対応策としては、当然ながら禁煙です。

8:患者様の心理的要因
インプラントは外科手術です。外科手術に対する恐怖心が強い場合、無理に治療を進めるべきではないと思います。歯科医師も患者のメンタル面を考慮し、リラックスできる環境の提供や、全身麻酔の併用を検討することが重要だと思います。

インプラント治療と高齢者

― 先ほど、若年者の話が出ました。逆に高齢者の場合はいかがですか?

とてもいい質問だと思います。若年者が骨の発育段階にあるのと反対に、高齢者は骨を形成するスピードが落ちます。また、腸や腎臓の機能が低下すると、カルシウムの吸収能力も低下しますので、リスクは高まると思います。
さらに、インプラント治療は長期的なメンテナンスが必要です。介護が必要になった際には、メンテナンスが難しくなるリスクがあります。治療を担当する歯科医師の高齢化や閉院により、将来的なフォローアップ体制に課題が生じる可能性も考慮しておく必要があります。

インプラントの代替としての義歯という選択肢

― くろさき歯科では、どのようにインプラントを行っていますか?

当院では、歯がない患者様への提案として、インプラントではなく、義歯を推奨しています。義歯には、「入れ歯」というイメージがつきまとっているかもしれませんが、長期的な視点に立つと、有効な選択だと思います。

「インプラントの前に義歯を推奨しています」

義歯のメリットとしては、

1:義歯技術の進歩
近年の義歯技術の進化により、適合性が向上し、装着時の違和感が大幅に軽減されています。

2:修理および調整が可能
インプラントとは異なり、義歯は調整や作り直しが比較的容易です。外科施術をする必要もありませんので、心理的な負担も軽減できます。心理面としては、「入れ歯」というマイナスイメージかもしれませんが、最近の義歯は、審美性にも優れています。

3:メンテナンスが容易
取り外し可能なため、清掃がしやすく、日常のメンテナンス負担が少ないという利点があります。お口を清潔に保つというのは健康上、とても重要なことなので、メンテナンスのしやすさはQOL(生活の質)に影響すると思います。

4:費用負担が軽減される
機能性の高い義歯は、保険外になりますが、それでもインプラントと比較をすると、費用負担が少なくなるメリットがあります。

― 義歯を提案していらっしゃるのは意外でした

もちろん、すでにインプラントが入っている患者様には対応しています。しかし、当院にいらっしゃる患者様は、口腔内に問題がある方が多いので、まずは口腔内の状態を整えてから義歯を提案しています。
健康状態もよく、事故などで歯をなくしてしまった方には、インプラントは有効な術式です。一方で、生活習慣が原因で歯をなくしてしまった方には、先ほどお話ししたリスクを背負ってまでインプラントを入れることが第一選択になるのかは疑問です。

くろさき歯科の義歯については、インプラントと比較しても遜色のないものを研究して、常時50種以上のサンプルがあります。ご来院いただければ、最新の義歯について、ご理解が深まると思います。

くろさき歯科では、常時50種類以上の入れ歯模型を見ることができる

インプラントを入れる前に大切なのは、自分の口腔内の状態を知ること

― 確かに長期的な視点は大切ですね。

もう1点、患者様に自覚していただきたいことがあります。それは、「なぜ、歯が悪くなったのか?」という根本的な原因を考えるということです。多くの人は人生で何度か歯科医院に通います。それは、なぜでしょうか?
虫歯の治療をしても、甘いものを食べていると虫歯になりますよね。生活習慣を改善しなければ、延々と歯の治療を繰り返すことになります。入れ歯が合わなかったり、被せ物や詰め物がよく外れるという方は、噛み締めが原因になっているケースがあります。噛み締めは、噛み合わせが合っていないことやストレスが原因になっているので、ここを改善しないと治療も進みません。インプラントを入れる前に、「なぜ歯がなくなったのか?」という根本的な原因を考え、対処をしておくことが大切だと考えます。

インプラントでも義歯でも、入れる前に、自分の口腔内の虫歯、歯周病、噛み合わせの3つの状態を把握しておくことが大切です。歯を補う状態によって、治療のやり直しリスクは減ります。

インプラントや義歯は、あくまで手段であり、部品です。その部品の土台となるのは、人間の体です。そして、体を支えているは心です。当院では、このような考え方から、「第3世代の歯科治療」を提唱しています。
口は「命の入り口」と言われるほど、敏感な器官です。様々な症状は口出やすいです。くろさき歯科では、口に出た症状から全身について考えるアプローチを行います。

「第3世代の歯科治療」についてはこちら >>

セカンドオピニオンの活用

今回お話ししたように、「絶対にインプラントが無理」という患者様は少数です。しかし、多くの方は過去に歯科医師に「難しい」と言われてしまうと、それが不変の事実であるかのように錯覚してしまいます。
インプラント専門医と義歯専門医では推奨する治療が異なる傾向があります。最終的な治療選択は患者自身が行うべきですが、複数の専門家の意見を参考にし、リスクを最小限に抑えた決定をすることが重要です。そのためにはセカンドオピニオンはもちろん、サードオピニオンも聞くといいと思います。

まとめ

インプラント治療は予知性の高い治療法ですが、全ての患者に適応できるわけではありません。適切な診査・診断を受け、個々の口腔状態や全身状態に応じた治療計画を立案することが成功の鍵となります。セカンドオピニオンの活用も視野に入れ、最良の選択を行いましょう。

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